【プロが解説】「木の調湿効果」はウソ? 本当? 性能を発揮する3つの条件(自然乾燥・柾目・無塗装) 【プロが解説】「木の調湿効果」はウソ? 本当? 性能を発揮する3つの条件(自然乾燥・柾目・無塗装)

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【プロが解説】「木の調湿効果」はウソ? 本当? 性能を発揮する3つの条件(自然乾燥・柾目・無塗装)

「木の家は調湿してくれるから快適ですよ」

家づくりを考えている方なら、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。確かに、木は自然素材として優れた特性を持っています。しかし、実はすべての木が調湿するわけではありません。

今回は、木の調湿効果について、もみの木の内装材を手掛ける私たちが、木の調湿効果について業界のタブーに切り込みます。


木が調湿するための、2つの条件

木が調湿効果を発揮するためには、2つの条件が必要です。

  1. 自然乾燥であること
  2. 柾目(まさめ)であること

この2つの条件が揃って初めて、木は調湿効果を発揮します。逆に言えば、この条件を満たしていない木材は、見た目は木でも、調湿効果はほとんど期待できないのです。


自然乾燥と人工乾燥の違い

木は、伐採したときに約70%の水分を含んでいます。この水分を約12%まで乾燥させないと、建材として使用できません。

この乾燥方法には、自然乾燥と人工乾燥の2種類があります。

自然乾燥は、時間をかけて自然に乾燥させる方法です。手間と時間がかかりますが、木の細胞を壊すことなく、木が本来持っている機能を保つことができます。

一方、人工乾燥は、機械で熱を加えて短時間で乾燥させる方法です。効率的で安価ですが、熱によって木の細胞が壊れてしまい、調湿効果などの機能が失われてしまいます。

現在、日本で流通している木材のほとんどは人工乾燥です。自然乾燥の木材を探す方が、むしろ難しいと言えるでしょう。


柾目と板目の違い

木材には、製材方法によって「柾目(まさめ)」と「板目(いため)」という2種類の木目があります。

柾目は、年輪に対して垂直に切り出した木材で、木目が真っ直ぐに通っています。調湿効果があり、反りや狂いが少ないのが特徴です。

板目は、年輪に対して平行に切り出した木材で、タケノコの断面のような山形の模様が特徴です。水分を閉じ込める性質があり、調湿効果はあまり期待できません。

昔から日本では、この2つを用途に応じて使い分けてきました。お櫃やすし桶など、調湿が必要な用途には柾目を。酒樽や醤油樽など、水分を漏らさない用途には板目を使ってきたのです。

関連記事:【調湿・反りの秘密】もみの木の家が「柾目」にこだわる理由|板目との違いを建築のプロが解説

 


「木なら何でも調湿する」は間違い

「木の家は調湿します」と説明する住宅会社は多いですが、実際には、使っている木材のほとんどが人工乾燥の板目です。

見た目は木でも、調湿効果はありません。

さらに、無塗装でなければ、木の表面が塗料で覆われてしまい、調湿効果は発揮されません。塗装された木材は、まるでサランラップ®で包まれたようなもので、呼吸することができないのです。

つまり、「木なら何でも調湿する」というのは間違いです。正確には、「自然乾燥の柾目で、無塗装の木材」だけが調湿効果を発揮するのです。


だから、私たちはもみの木しか使いません

私たちが内装材にもみの木を使う理由は、ここにあります。

もみの木は、自然乾燥された柾目の無塗装材です。調湿効果、消臭効果、抗菌効果など、木が本来持っている機能を最大限に発揮します。

見た目だけの「木の家」ではなく、本当に快適な空気環境を実現する家。それが、私たちの目指す家づくりです。

「木の家がいい」と思っている方は、ぜひ一度、その木材の乾燥方法と製材方法を確認してみてください。自然乾燥ですか?柾目ですか?無塗装ですか?

その答えが、本当に快適な家づくりの第一歩になります。