「木の家は調湿してくれるから快適ですよ」
家づくりを考えている方なら、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。確かに、木は自然素材として優れた特性を持っています。しかし、実はすべての木が調湿するわけではありません。
今回は、木の調湿効果について、もみの木の内装材を手掛ける私たちが、木の調湿効果について業界のタブーに切り込みます。
木が調湿するための、2つの条件
木が調湿効果を発揮するためには、2つの条件が必要です。
- 自然乾燥であること
- 柾目(まさめ)であること
この2つの条件が揃って初めて、木は調湿効果を発揮します。逆に言えば、この条件を満たしていない木材は、見た目は木でも、調湿効果はほとんど期待できないのです。
自然乾燥と人工乾燥の違い
木は、伐採したときに約70%の水分を含んでいます。この水分を約12%まで乾燥させないと、建材として使用できません。
この乾燥方法には、自然乾燥と人工乾燥の2種類があります。
自然乾燥は、時間をかけて自然に乾燥させる方法です。手間と時間がかかりますが、木の細胞を壊すことなく、木が本来持っている機能を保つことができます。
一方、人工乾燥は、機械で熱を加えて短時間で乾燥させる方法です。効率的で安価ですが、熱によって木の細胞が壊れてしまい、調湿効果などの機能が失われてしまいます。
現在、日本で流通している木材のほとんどは人工乾燥です。自然乾燥の木材を探す方が、むしろ難しいと言えるでしょう。
柾目と板目の違い
木材には、製材方法によって「柾目(まさめ)」と「板目(いため)」という2種類の木目があります。
柾目は、年輪に対して垂直に切り出した木材で、木目が真っ直ぐに通っています。調湿効果があり、反りや狂いが少ないのが特徴です。
板目は、年輪に対して平行に切り出した木材で、タケノコの断面のような山形の模様が特徴です。水分を閉じ込める性質があり、調湿効果はあまり期待できません。
昔から日本では、この2つを用途に応じて使い分けてきました。お櫃やすし桶など、調湿が必要な用途には柾目を。酒樽や醤油樽など、水分を漏らさない用途には板目を使ってきたのです。
関連記事:【調湿・反りの秘密】もみの木の家が「柾目」にこだわる理由|板目との違いを建築のプロが解説
- 柾目と板目
「木なら何でも調湿する」は間違い
「木の家は調湿します」と説明する住宅会社は多いですが、実際には、使っている木材のほとんどが人工乾燥の板目です。
見た目は木でも、調湿効果はありません。
さらに、無塗装でなければ、木の表面が塗料で覆われてしまい、調湿効果は発揮されません。塗装された木材は、まるでサランラップ®で包まれたようなもので、呼吸することができないのです。
つまり、「木なら何でも調湿する」というのは間違いです。正確には、「自然乾燥の柾目で、無塗装の木材」だけが調湿効果を発揮するのです。
だから、私たちはもみの木しか使いません
私たちが内装材にもみの木を使う理由は、ここにあります。
もみの木は、自然乾燥された柾目の無塗装材です。調湿効果、消臭効果、抗菌効果など、木が本来持っている機能を最大限に発揮します。
見た目だけの「木の家」ではなく、本当に快適な空気環境を実現する家。それが、私たちの目指す家づくりです。
「木の家がいい」と思っている方は、ぜひ一度、その木材の乾燥方法と製材方法を確認してみてください。自然乾燥ですか?柾目ですか?無塗装ですか?
その答えが、本当に快適な家づくりの第一歩になります。
- 私たちが使うのは、柾目・自然乾燥・無塗装のもみの木の内装材です
